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もう1組の「2人の男のぶつかり合い」- バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生 感想-

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バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生」が、いろいろ言いたくなる感じの映画だったので、感想を書きたいと思います。マッドマックス以来の映画感想だ…!

ちなみに今回の記事はネタバレを微妙に含みます!やや注意!

一言感想

バットマンとスーパーマン、主役2人のかっこいい姿、立ち回り(アクション)が観れたので大満足。ヒーロー映画感が高い…!ヴィランも含めて、キャスティングが抜群! ただ「ザック・スナイダークリストファー・ノーラン、どちらか単独でこの映画を作っていたら、もっと面白かったかもしれない」と邪推してしまった。なんだかお互いの良いところを相殺し合ってる気がする…

好きな点

  • 魅力と必然性のあるキャスティング
  • ヒーロー映画かくあるべし!なアクション

魅力と必然性のあるキャスティング

まず俳優陣、超良かったと思います! ヘンリー・カヴィルのスーパーマンの「本物感」はもうすっかり板についてるし、賛否両論あったようですが、私は好きです、ベン・アフレックバットマン。今、バットマンに関する映画を撮れば、どうしても「ダークナイト」との比較は免れないのだから、クリスチャン・ベイル版とこのぐらい雰囲気が違うのは、戦略としても良いんじゃないかな〜。実年齢よりちょっと老けてる演技のベン・アフレックが、老体(?)に鞭を打ってボロボロになりながら頑張る…いい!バットマンとアルフレッドの関係性も「手の焼ける息子と父親」って感じで全然違いましたね。新鮮で良かったです。

f:id:t0rakeina:20160415015225j:plain マイケル・ケインのアルフレッドも好きだけど、ジェレミー・アイアンズ版のアルフレッド、すごいカッコ良かった…

またジェシー・アイゼンバーグ演じるレックス・ルーサーも、クレイジーで、バットマンっぽい良いヴィランだったと思います。「バットマンを観てる感」が高まる〜!(原作ではどちらストーリーに登場するか知らないのですが…)仲間っぽい人も容赦なく切るところがいいですよね。ピーチティーとか。ただ、ちょっとオチは「ザ・その手の悪役」という感じで残念だったかな〜

f:id:t0rakeina:20160415015311p:plain 予告に出てきたこのシーンの「Boys!」の勢いの良さで、「あ、この映画観に行きたい」と思いましたね

ただ正直、もっとワンダーウーマンを観たかったですね!願わくば、戦闘コスチュームだけじゃなくて、ばっちりドレスアップした姿で軽く暴れて、「この女、ただもんじゃねえ…!」みたいなシーンとか!

ヒーロー映画かくあるべし!なアクション

「どこを止め絵にしてもカッコ良さそう」と思わせる気合が入ったアクションは、さすが「300」や「ウォッチメン」で「コミックをいかにカッコよく映画にするか」に心血を注いてきたザック・スナイダー!手腕をビンビンに感じる仕上がりでした。ラストのドゥームズデイとのバトルはもちろん、特にフレッシュだなと思ったのは、砂漠っぽいシーンでの「長回し風&ちょっと疲れてるアクション」カメラも結構動くんだけど、ちゃんと分かりやすい絵になってて、すごい楽しかった!バットマンがしんどそう〜

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冒頭の崩壊するメトロポリスを疾走するカーアクションも、ごちゃごちゃしてるのに緩急があって楽しかったです。IMAX3Dで視聴したのですが、ここがが一番3D感も高かった! マン・オブ・スティール終盤の展開のサイドストーリーとして展開するこのシーン、「スーパーマンは街を守ろうとしてたのに…」と、こちらをちゃんと悲しい気持ちにさせてくれるので、今回の映画のなかでもかなり良かったと思います。
(前作から「そもそも人里で暴れすぎでは?」という疑問はちょっとありますが…)

うーん…と思った点

  • メイン製作陣2人の味のケンカ
  • キャラクターの感情が追いづらい

メイン製作陣2人の味のケンカ

この映画がどんな制作体制だったかは分からないのですが、監督のザック・スナイダー、製作総指揮のクリストファー・ノーラン 2人の「味」が、なんだかケンカしてしまっているような印象でした。(ノーランは立場的に強く関与していないとは思うのですが、猛烈にノーランぽいシーンもたくさんあったので…) 私はどちらの作品も好きだし、どちらも「象徴的なお話」を得意とする人なのかな、と思っているのですが、今回この映画を観て「同じ『象徴的な話』でも、2人がやりたいことは全然違うのかも…」と思いました。 仮にアニメで例えるなら、ザックはガイナックス、ノーランはシャフトとかマッドハウスというイメージ。

ザックのイメージ

f:id:t0rakeina:20160415015937j:plain f:id:t0rakeina:20160415020155j:plain エンジェルウォーズを「これが本当に撮りたかった作品」 と豪語するザックは、信頼できる男だと思います。

ノーランのイメージ

f:id:t0rakeina:20160415020230j:plain f:id:t0rakeina:20110227014131j:plain なんか、かえって分かりづらい上に、誰かから怒られそうですね…

バットマン VS スーパーマン」も、「要所要所でシャフトの思わせぶりなシーンが展開し、その間にガイナックスの熱めのバトルものが挟まってる」と言いますか…どちらにも集中しきれなかった印象です。
仮に、この映画をどちらかが完全にハンドリングしていたら、今とは少し違う、すっきりした話になったんじゃないかな。例えば、クリストファー・ノーランが完全に指揮を取っていたら、プレステージダークナイトばりに、ものすごーくスッキリしない「もう!人間って汚い!」みたいな部分がガッツリ描かれて「うわ〜、最悪…」と言いながら楽しめたような気がするし、ザック・スナイダーだったら、それこそ300やウォッチメンのように「あれ?なんか辻褄合ってなくない?」なんて余計なことを考える隙が無いような、怒涛の展開になっていたんじゃ…などと邪推をしてしまいました。

キャラクターの感情が追いづらい

さらに、この「ザックな要素」と「ノーランな要素」、2つの要素がケンカしてる結果、お話が滑らかに続いてる感じがしないんですよね。要所要所でブツッと切れてる。故に、「あれ?スーパーマンはなんでこんなにバットマン嫌いなんだっけ?」とか「バットマンがここまでスーパーマンを倒そうと思ってる理由ってなんだっけ?」とか「あれ?この人達、いつ和解したんだっけ?」とか…キャラクターの感情が追っかけづらい = 感情移入もしづらいような気がしました。

f:id:t0rakeina:20160415214803j:plain 何回か見たら違うんだとうけど、2人の行動の動機がだんだん分からなくなっていく…

ネガティブなことをごちゃごちゃ言いましたが、やっぱり「ヒーローたちがかっこいい」というのは、ヒーロー映画としてものすごく大事な部分だし、その部分を余裕でクリアしているスーパーマン VS バットマン、秋にはスーサイドスクワッドも控えていることですし、世評はあんまり気にせず、映画館で観るのがオススメだと思います〜!