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『映画』や『ガジェット』や『ものづくり』のことなど、気になった事をまとめていきます。

自作妖怪ウォッチから考える「『欲しいものが手に入らない』という贅沢な時間」について

少し前に『自作妖怪ウォッチ』というのが話題になりました。

入手困難で自作!?皆の妖怪ウォッチがなんか凄いw - NAVER まとめ

入手困難な「妖怪ウォッチ」を自作してみるお父さんお母さんが続々あらわれる - ねとらぼ

 妖怪ウォッチに関して説明ができる程詳しくはないのですが、「ポスト ポケモン」として、ゲームにアニメにと、怒濤の勢いみたいですね。

テレビ東京・あにてれ 妖怪ウォッチ

ド直球ポケモン世代としては、「断固ポケモン党!」と思っていたのですが、ジバニャンとコマさんが可愛い。

 

この妖怪ウォッチの関連おもちゃ『妖怪ウォッチ』が人気過ぎて入手困難となり、「それならば!」と手作りするキッズとその親御さんが続出しているらしいのです。

Amazon.co.jp: 妖怪ウォッチ DX妖怪ウォッチ タイプ零式: おもちゃ

 

この一連の流れ、「なんか既視感あるな…」と思っていたのですが、90年代後半のたまごっちブームの際、自分も『自作たまごっち』を作った事を思い出しました。

 

たまごっちと私

私が小学校3~4年生の頃、たまごっちは人気の絶頂を迎えていました。
どのくらい流行っていたかというと、私が「高周波の音を出す蚊よけグッズ」を身につけていると、かなり高齢のおばあちゃんから「『何っち』を育ててるの?」と訪ねられるレベル。

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コレです

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サイズ感はかなり近かった。

 

我が家は別に厳しい家庭ではなかったのですが、一人っ子の私は、両親が醸し出す「ウチの子には、出来れば『流行もの』に流されてほしくないな〜」みたいな空気を勝手に感じ取り、「買ってもらえたら嬉しいけど、別にそこまで欲しくない」とクールな意思を表明。
でも内心は欲しくて欲しくてしょうがなかったので、当時通っていたエレクトーンの先生から「ベビーシッター」として『てんしっち』をレンタルし、エレクトーン教室仲間と1週間交代で育ててたりしました。

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エレクトーンの先生ありがとう。情報通で綺麗な優しいお姉さんで、トーキングウォッチとか、シーマンのこととか教えてくれました。

 

しかしそれでも満たされない私は、なんとか「たまごっちを所有しない自分」を正当化するために、
「私はたまごっちは欲しくない。何故なら私の方が『今ある現存のたまごっち』より、もっと面白い『たまごっち』を作れるから!」
と『自作たまごっち』作りを始めました。

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私の考えた最強のたまごっち。

曖昧な記憶なので、かなり美化されている気がする。

 

歪んだ自己実現のために始めた『自作たまごっち』作りですが、設定を色々考えたり、可愛く見えるよう必死にデコったり、私の不器用さを見かねた母が色々助けてくれたり、友人が「本当にそんなたまごっちがあったらいいね」と優しい言葉をかけてくれたり…だんだん当初の目的を忘れ、『たまごっち作り』自体が目的化していきました。

今考えると、『ものづくりの楽しさ』って、こういう所に潜んでいるのかも。

私の周りにはたまたまいませんでしがた、きっと当時は何人もの子ども達が『自作たまごっち』作りに勤しんでいたことでしょう。

 


スマッポ

結構最近の『自作たまごっち』の例

 

 「憧れていた時間」について

当時小学生だった私のモチベーションを支えたのは、「憧れていた時間の長さ」だったと思います。

手に入れられなくて悶々としている時間が長かったからこそ、「もう自分で作ろう!」とやけくそになり、さらに「どうせ作るならもっと面白いものを!」と思えたのだと。

私は取り立ててクリエイティブな子どもでも、集中力のある子どもでもありませんでした。だから「長時間物欲を刺激され続ける」といった強い力に後押しされなければ、自ら手を動かすことはなかったでしょう。

そして「自分で考えたコレ、結構面白くない?」→「でも本物はもっと面白いんだろうな…」→「じゃあもっと面白い設定を…」というループを生み、この一連の出来事を今でも思い出深いものにしている…と思いたいです。

 

自作妖怪ウォッチについて

そんな小学生時代を過ごしたため、私は自作妖怪ウォッチ関連の一連のニュースを、「おおー!がんばれー!!」と、普通にポジティブに捉えていました。

なので、

【悲報】妖怪ウォッチが手に入らなくて、子供達が自作で妖怪ウォッチを作っている件 | コレスゴ!

などのネットニュースで【悲報】と報じられていたのにはちょっとびっくりしました。

 

確かに、高値の転売も許されたものではありませんし、そんな状況になってしまうほどの品薄状態自体は問題でしょう。

しかし、欲しさのあまり『自作妖怪ウォッチ』を作った子は、多分そのことを向こう10年は忘れないのでしょうし、「手作りする」事自体は、全然悲しいことではないと思います。(勿論、ネットニュースでもその部分に対して【悲報】と報じた訳ではないと思います)

「自分で作った妖怪ウォッチで、十分楽しく遊べた」

「お父さん、お母さんと作った妖怪ウォッチが、本物そっくりに出来た」

という楽しい瞬間と、

「でもやっぱり本物が欲しい!!」

という歯がゆい瞬間の両方が、たくさんの子どもたちのクリエイティビティを刺激している可能性は大です。

 


DX妖怪ウォッチを100均材料で自作してみました。 - YouTube

大人もノリノリ。子どもが「自身の興味の対象」に対して全力投球する大人を見られるのも、すごく良いだと思うし、大人自身も楽しそう。

本物の妖怪ウォッチに出来ない機能(時計)を実装してるところも凄い!

 


100均でつくる妖怪ウォッチがクオリティ高ぇ~!! - NAVER まとめ

市販にはない「女の子主人公バージョン」の手作りも!

 


【自作妖怪ウォッチ】妖怪ウォッチ零式と妖怪メダルを自作してみました - YouTube

Raspberry Pi やら、非接触ICカードリーダーやら、偏光板やらで全部載せ状態。ガワも3Dプリンタという本気ぶり。

 

こどものクリエイティビティについて

上でも書いたように、私は特別クリエイティブな子ではありませんでした。

本当に「自分で手を動かすこと」に興味がある子は、いつも何かを作ったり、何かを描いたりして、それがどんどん上手になっていきます。

そういう子を見ながら、「羨ましいけど、私には出来ないな」と思う事もあったような気がします。

そういう私が、小学生時代短い期間だけど少しクリエイティブな日々を過ごせたのは、やっぱり「『欲しいものが手に入らない』という贅沢な時間」のおかげだったと思います。

今現在、多少『ものづくり』に関わる仕事についている身としては、当事者である子ども達は辛いと思いますが、是非やけくそになって手を動かして欲しいな、と思わずにはいられません。その経験で残るものは、「おもちゃ自体が与えてくれるもの」より大きい可能性があると思うのです。